野口亜弥(New York Magic) 4年目の夏の経験

アメリカ4年目の夏を迎えました。野口亜弥です。
夏の間New York Magicでプレーするのも4回目。最初の1年目に英語学校に通い、点数が取れないTOEFLに悩まされ、学校が決まらずアタフタしていた頃と比べると少しは成長したかなと思えます。

この夏は、まず選手として、初めてNew York Magicでキャプテンをやらせていただきました。キャプテンは私を含め3人いました。アメリカではチームにキャプテンが一人というのはあまり見られず、異なるリーダーシップを持つキャプテンが一緒になってチームをまとめます。仲間が言うことが正確に聞き取れるのかな?言いたいことが正しくちゃんと伝わるのかな?という英語面の不安も然ることながら、ひとりひとりきちんと意見を主張してくる環境の中で、チームメイトの主張をどう聞いて、どこで自分の意見を主張していかないといけないのか?という、難しさがありました。もっとああ出来ただろう。なんてことは振り返ると沢山あります。ですが、チームのために取り組んでいた気持ちはちゃんとチームメイトに伝わっていて認めてくれる部分もあって、そこは素直に嬉しかったです。キャプテンとして違う立場からチームに関われた今年は、難しい場面も勇気を出さなければいけない場面も多々有りましたが、本当に学ぶことが多いシーズンになりました。



また、今年の夏はニューヨークにあるAmerica SCORESという団体のサマーキャンプにコーチとして関わらせていただきました。この団体は、上手いサッカー選手を育てる、強いチームを作るということを第一の目的に置くよりも、サッカーを教育の一つのツールとして活用し、子供たちに運動の機会とソーシャルスキルを身につける機会を提供しようというコンセプトのもと活動している団体です。アメリカでは、貧しい地域(ニューヨークではハーレムなど)に住む子供たちを主な対象としてこのような活動をしている団体は結構あります。ここの団体に関わらせていただいたことにより、今までとは異なる切り口からサッカーに関わることができ、常に新しい刺激が受けられて勉強になりました。ここで出会えた人たちとの人間関係も大切にしていきたいと思いました。

キャンプでのコーチングに関しては、初めてメインで練習をリードさせてもらえる機会が何回か得られ、良い経験になりました。今までアメリカでやらせてもらっていたのはアシスタントコーチだったので、自分のやりたいことをやってみるというよりは、ヘッドコーチを見て学ぶ機会が多かったのですが、いざ自分でやってみると発見が多かったです!例えば、今までの経験から、アメリカでは、特に小学校年代は、いかに楽しませるか?ということに多くの注目が注がれ、ゲーム系の練習になることが多いです。なので、インサイドキックやトラップ、ドリブルの基本をきちんと理解している選手は少ないように思っていました。みんな地道コツコツやるのが苦手なんだっ!と解釈していました。しかし、実際きちんとポイントを説明して、そこに子供が意識を向けられるメニューを作って、ポイントに絞って声をかけていったら、少し短調な練習でも集中切らさず、いい練習ができました。

やればできるじゃないかっ!と子供たちにも自分自身にも、ちょっとだけ嬉しく思いました。

特に子供はあまり外国人が話す英語に慣れていないことが多いので、私の英語を聞きながら、なぞなぞを読解しているような顔をしている時もありましたが、そういうときは周りのコーチが上手くフォローしてくれて、練習を進めることができました。私は最後までキャンプにはいられなかったのですが、最終日にどこからか私が今日で終わりだという情報を聞きつけ、手作りのThanks Cardをある兄弟が用意してくれていました。気持ちは伝わっていたのかなと思ったら非常に嬉しかったです。
この夏は、やりたいと思っていたことに挑戦でき、新しい刺激を多く受けられてとても充実していました。まずは自分で行動する事。助けてくれる人たちがいたからこそいい経験ができたということ。感謝の気持ちを忘れずに、これからも目標に向かって地道にコツコツと積上げていきたいと思いました。




野口亜弥