井上 由惟子 Summer Season in New York (留学1年目)

私は今年の三月初めてブリッジのツアーに参加して、そこで留学のお話を頂き、今年の夏NYにあるNY Magicというチームに所属しW-Leagueという舞台でプレーさせて頂きました。
四月の終わりに渡米して、チームのコーチが貸してくれた部屋で他もう2人の日本人チームメイトと三ヶ月間昼間は語学学校に通い、週2日で夜に練習、週末試合という生活を送っていました。
初めてのアメリカでの生活、アメリカでのサッカーは私にとって新しいことばかりで本当にたくさんのことを勉強させていただきました。

まずサッカー面では外国人選手のフィジカルの強さに圧倒させられました。日本人はきっと技術的にはアメリカよりも高いレベルにあると思います。ただどんなに技術で優っても勝たなければ意味がありません。
日本にいた時の私はゴールまでの形やきれいなパス回しに満足している部分が正直ありました。けれどアメリカでプレーして感じたことは、全てのプレー、判断がいつもゴールを目指すものでなくてはならないということです。どんな形であっても勝つことが1番大事だし、ゴールこそがサッカーの原点であり最大の魅力だと改めて気づかされました。アメリカ人は日本人と比べたら決して上手ではないけれどそういったサッカーの原点である勝敗・ゴールにまずこだわるという部分ですごく見習うところが大きかったし、それは日本人プレーヤーが忘れがちな部分であると思います。
またフィジカルでは絶対に外国人プレーヤーに勝てない自分がどのようにしたら相手に勝てるのか、自分の長所について知ることが日本にいる時以上にアメリカでは必要だなと思いました。それに気づけて考えることが出来たのは良かったけれど実際にピッチの上で手ごたえの感じる段階までもっていけなかったのが悔しかったです。
やはり国によってサッカースタイルは違うということを身をもって知れたし、アメリカのサッカーは迫力があって、私はそんな日本とは全然違うサッカーも楽しめた自分がいて嬉しかったです。またその中で日本サッカーの良さ、欠点についても感じることが多々あり、その発見はすごく面白かったです。

サッカー以外の面では、
違う国、違う文化の中での生活、全てが私にとって初めてで未知でした。日々新しいことがあり、想像出来ないことだらけでした。最初はそれが不安で怖い部分もありましたし、実際コミュニケーションや言葉の部分で苦労したり、嫌になることもたくさんありました。でも全てが本当にいい経験で、新しい自分の発見の連続でもありました。
知らない世界がまだまだたくさんあるということを知り、いろんな異文化の人達と触れ、いろんなことや人をもっと知りたいと思うようになりました。そしてそのために、なにかが起こるのを待つのではなく、もっと自分でアクションの起こせる人間になりたいです。自分の可能性や将来への期待がすごく大きくなったように感じます。

また一方でとても印象に残っている思い出は、ある日語学学校のコロンビア人の友達がとても悲しんでいたことです。その理由は自分の国の、ある地域で、また紛争が始まったということでした。
戦争とか、人種差別とか、世界が抱える問題について頭では知っていたけれど、日本にいた時以上にアメリカではそれが身近にありました。それは世界中の人がいろんな理由で集まってくる国だからだと思います。
それを知ったところでどうなのかと言うとわかりません。これまでと変わらずに日常生活の中で不満を言ったり、小さいことで落ち込んだりすることもあると思います。
でも私はそういった、これまで考えもしなかったとをより頻繁に考えたり、思い出したりするはずです。そしてその時これまでと考え方や選択肢が変わってくるかもしれません。

全て私が日本にいた時には知り得なかった、感じられなかったことです。シーズンの終盤で前十字靭帯を切ってしまったことは一つだけ残念ですが、私以上に心配して落ち込んでくれたチームの監督やオーナー
そしてそんな良い人たちに出会えたこと、素晴らしい経験をする機会をくれたブリッジ、加えて、日本での治療を決断した時にすぐに快く助けてくれた元チームの監督チームメイト、、全ての人に今感謝の気持ちでいっぱいです。
この三ヶ月のアメリカでの生活はたったの三ヶ月かもしれないけど私にとっては大きな三ヶ月でした。
サッカーももちろん、それ以外の面でもたくさんのことを感じ学びました。そんな経験が出来て本当によかったです。


井上 由惟子